ベビーマッサージ

体内に100兆個から1000兆個も棲んでいるとされる腸内細菌たち。

人間の体の細胞数は成人で60兆個とか37兆個などと言われますから、細胞数では腸内細菌たちのほうがずっと多いことになります。(腸内細菌1個はひとつの細胞です。)

そう考えると、自分のための体なのか、腸内細菌のための体なのか、何だか分からなくなりますね。

不思議な気持ちです。

毎日食べているご飯も、半分以上は自分のためというより、腸内細菌たちのために食べているということになります。

その代わり腸内細菌たちは、人間のためにビタミンを作ってくれたり、免疫細胞を刺激して病気から守ってくれているわけです。

では、こんなにたくさんの腸内細菌たちは、いったいどこから来たのでしょうか?

ママから赤ちゃんへ受け継がれる腸内細菌

妊娠すると、胎児は子宮の中で無菌状態で守られています。

赤ちゃんと腸内細菌が初めて出会うのは、出産のときです。

ママの産道には、腸内の細菌と似たビフィズス菌などの細菌が棲息しています。

出産時に赤ちゃんが産道を通るとき、そこに棲息する細菌たちと初めて出会い、それらを口や鼻から取り込んでいきます。

こうして赤ちゃんと腸内細菌たちとの付き合いがスタートすることになります。

ですから、赤ちゃんと腸内細菌たちの関係はパパと出会うよりも早くに始まっているわけです。

そして、これらの腸内細菌たちは元々はママの産道から来た子たちですから、ママから受け継いだものとも言えます。

それを裏付けるかのように、フィンランドの研究所が90組の母親と生後三か月の赤ちゃんについて便を調査したところ、そのうちの75%の親子が共通するビフィズス菌を持っていたそうです。

そうだとすると、妊ママは少なくとも出産時までには、自分の腸内環境を良好にしておくことが大切ですね。

もし悪玉菌をいっぱい受け継がせたとすると、赤ちゃんはスタート時点から健康面でやや不利な状況に置かれてしまう可能性があります。

と言っても、赤ちゃんにとってはママから受け継ぐ細菌が全てではありません。

赤ちゃんはその後も、母親以外の身内や知り合いなど周りの人から多くの細菌を獲得していきます。

また人以外の食物や持ち物など環境からも細菌を取り込んでいきます。

そうして3歳になるころには、腸子のコミュニティ(共同体)である腸内フローラをほぼ完成させます。

この3歳までにつくられた腸内フローラが、その後の老年期までの免疫力や代謝を含む健康の土台となるわけです。

帝王切開の場合は?

帝王切開で生まれた赤ちゃんの場合は、ママの産道は通りません。

ではどのようにして腸内細菌と出会うのでしょうか?

これについては、出産時の産科のスタッフの手指や空気中の微生物、その後の母親や家族との接触を通して徐々に出会いを広げていくと言われています。

ただし、帝王切開の乳児が母親の腸内細菌をきちんと受け継げるかというと、受け継いでいない可能性が高いようです。

これについては2013年にベルギーのヤクルト本社ヨーロッパ研究所で行われた研究報告があります。

この研究で自然分娩の母子12組と帝王切開の母子5組の腸内細菌を比較したところ、自然分娩の母子の11組が共通するビフィズス菌を持っていたのに対し、帝王切開の母子では共通するビフィズス菌が見つからなかったということです。

ママの細菌を受け継ぐことにどんな意味があるのか、受け継がないとすれば何か問題があるのか、その点は明らかではありません。

ただ、動物の世界でも母から子へ微生物を受け継ぐことが広く観察されているようですから、自然の摂理として何かの意味があるのかもしれせん。

その点では帝王切開で生まれた子は自然分娩の子よりアレルギーになる可能性が7倍高いという研究報告もあるようです。

そして出産時の腸内細菌にかかわる別の問題としては、抗生物質があります。

帝王切開前には母親に感染症予防のための抗生物質が投与されます。

そして出産前にB群溶連菌の検査結果が陽性と出た場合にも、母親に抗生剤が投与されます。

さらに出産後の新生児の目薬の点眼にも抗生物質が使われています。

抗生物質は、害となる細菌だけでなく善玉菌をも殺しますから、これが赤ちゃんと腸内細菌との最初の出会いに何らかの影響を与えていることは十分に考えられます。

本当はもっといい出会いになるはずだったのに、その機会を奪われているかもしれないのです。

とにかく3歳までが一番重要

腸内細菌育成に関してスタートで出遅れるのが、帝王切開で生まれた赤ちゃんです。しかし、数か月後には帝王切開の赤ちゃんと自然分娩の赤ちゃんの腸内フローラは次第に似通ってくるとも言われています。

初期の時点での腸内細菌の違いが、それぞれの赤ちゃんにどのような違いをもたらすかは研究を待たなければなりませんが、少なくとも数か月たてば大きな差は解消されるようです。

そこで大事になってくるのは、3歳までの過ごし方です。

この時期にどれほど大切に腸内細菌を育てたかによって、その後の人生の健康面での大枠が決まります。

3歳頃に完成した腸内フローラは、その後は大きく変化しません。

車で言えば、軽自動車がベンツのエンジン性能を上回ることがないのと似ています。

3歳までに軽ワゴン型腸内フローラか、ベンツ型腸内フローラかが決まり、その後はそれぞれのエンジン性能を改良することはできても、エンジン自体を取り換えることはできないということです。

我が子が生まれた時にこのことを知っていれば・・・

私は今頃になって猛烈に悔やんでいます。

でも、子どもの今をありのまま受け入れて、その中で最善のものを与えられるよう努力することが大切だとも思っています。

軽ワゴンもベンツもそれぞれの魅力があり、価値がありますからね。

それに15歳まではまだ腸内細菌の働きを向上させて免疫力を伸ばせる余地がありますし、その後もきちんとメンテナンスすれば十分に免疫の高い状態を保てます。

それでも、より頑丈で故障の少ないエンジンなら、心配も少なく修理代もかかりません。

なので、お子さんがまだ3歳に達していないご家庭では、特に今の時期に集中して子どものお腹にいいことをたくさんしてあげてください。