苦しそうな幼児

腸炎ビブリオ食中毒は細菌性の食中毒で、「腸炎ビブリオ」という細菌が原因で起きます。

腸炎ビブリオは、食中毒の原因菌の中でもサルモネラ菌と1,2位を争うほど発生件数の多い細菌です。

主に海産の魚介類に付着していて、それらを十分に火を通さず食べることで感染します。ちなみにサルモネラ菌のほうは卵料理で感染することが多いようです。

この菌は1950年に大阪で発生した集団食中毒をきっかけに知られるようになりました。

その時には何と患者272名、死者20名を出したと記録されていますから、決して軽くみてはいけない部類の感染症です。

この大阪での食中毒事件はシラス干しが原因だったようですが、そのように生鮮海産魚介類を食べることで感染することが多く、人から人への感染は稀にしかないようです。

腸炎ビブリオ食中毒はイカや貝類を食べて感染することが比較的多いようですが、もちろん他の全ての魚介類が感染源になり得ます。

特に抵抗力のない子どもの場合、食中毒で大きなダメージを受けることもありますから、細心の注意が必要です。

外食で刺身や寿司を食べたり、スーパーで購入するときには、お店の衛生管理が行き届いているかという点を必ずチェックしておきたいところです。

腸炎ビブリオは低温に弱い菌なので冷蔵保存・冷凍保存をきちんと行っていれば安心です。

また真水洗浄・加熱調理でも感染を防げます。

危険なのは海で獲れたものを常温で放置していたような場合です。

衛生面で少し不安が残る場合には、少なくとも小さいお子さんには食べさせないようにしましょう。

海鮮バーベキューや釣った魚も要注意

腸炎ビブリオは、水温が20度以上の時に活発に増殖することが知られており、日本では6月から9月にかけて食中毒が多く発生します。

ですから夏場で海水の温度が上がった時などは注意が必要です。

たとえば、夏は海水浴やキャンプなどで海に行き、海でとれた貝や魚をその場でバーベキューにするのはよく見られる光景です。

それらの魚介類に腸炎ビブリオが付着していることがあります。

魚釣りで釣ってきた魚を、常温のまま持ち帰ったような場合も同様です。

対策としては、海で獲れた魚介類は真水でよく洗ったり、よく火を通してから食べるようにしましょう。

もし子どもが魚や貝を食べてひどい嘔吐や下痢をしたなら、脱水症状に気をつけて水分を補給しながら病院を受診してください。

腸炎ビブリオ食中毒の症状と治療について

腸炎ビブリオ食中毒では、原因となるものを食べて数時間後に激しい腹痛、下痢、血便、嘔吐や発熱が症状として現れます。

大抵は抗生物質を使用しなくても数日で回復します。

しかし、過去に大阪で死亡事例があったように、免疫力の極端に低下した高齢者などでは死亡例もあります。

それで場合によっては抗生物質による治療が行われることもあります。

尚、下痢止めは原因菌(腸炎ビブリオ)が排出されるのを遅らせて治りを悪くするので用いられません。

子どもが魚介類を食べて下痢を起こした時も、自己判断で市販の下痢止めを使用しないように注意が必要です。

食中毒は善玉菌でガード

乳酸菌やビフィズス菌による腸内フローラが強固で安定しているなら、食中毒菌や他の病原菌が腸管へ侵入するのを防げます。

また、有害菌を体外へと排出しようとする力が強力に働きますから、重症化を防ぐことができます。

このことは1996年に堺市で起きたO-157食中毒事件の調査報告からも分かります。

この事件では学校給食を原因として、学童9,523名が病原性大腸菌O-157に感染し、791名が入院、3名が死亡し、長く後遺症の残った子どもも多くいました。

同じ給食を食べたのに軽症だった子と重症になった子がおり、その違いを調べたところ、日ごろから便秘をしていたなど腸内環境の整っていない子のほうが重症化しやすかったという結果が出ました。

子どもを食中毒や感染症で重症化させないためにも、日ごろからせっせと善玉菌たちを育ててあげましょう。